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心不全とは病名ではありません。心臓がうまく働かずにその結果起こる体の状態のことを指します。慢性心不全は徐々に進行し、命に関わりますので、早期発見と治療を続けることが大切です。慢性心不全は一度発症してしまうと治癒することはありません。当センターでは患者さんが生涯を通じて継続的に治療ができるよう体制を整えています。
左心系(左心室・左心房)のポンプ機能が低下すると、全身に血液を十分に送り出せなくなり、肺に血液が溜まってしまいます。
全身に血液が行き渡らないので疲れやすかったり、肺に血液がとどまってしまうことで水が溜まり、息苦しくなったりします。
右心系(右心室・右心房)のポンプ機能が低下すると、血液がからだに留まってしまいます。これにより足のむくみや、体重増加、食欲不振などの症状がでます。左心系・右心系の両方ともポンプ機能が悪くなることもあります。
心不全の症状
心不全は、その病状によって4段階にステージ分類されます。ステージを進行させないためには、どの段階であっても生活習慣の見直しや薬物療法など適切な治療や管理が必要です。
心不全はあらゆる心臓病の進行した病状
心不全は心臓病が進行して悪化した状態です。
そこに至る前に食い止めることが大切です。
心臓の状態が急激に悪化し、緊急に処置・手術が必要な場合は急性期病院が治療にあたります。急性期の治療が一段落すると、次は回復~維持のための医療・介護サービスの調整、心臓リハビリテーションを進めます。丸の内病院では家庭・社会生活に復帰し、安心な生活ができるように運動療法や生活習慣・服薬・栄養の管理を行います。
急性悪化!
急性期病院
心臓病発症/救急搬送
手術・処置
急性期心リハ
回復期~維持期
丸の内病院
心臓リハビリの開始
入院中の前期回復期、
退院後の後期回復期から
維持期へ
維持期
かかりつけ医
定期受診/経過観察
(6ヵ月)
メディカルフィットネス
回復期~維持期の過ごし方 (丸の内病院)
急性期の治療の後は、家庭生活復帰に向けて運動能力や生活の質を改善するために一般病棟で回復前期の治療・心臓リハビリテーション等を行います。患者さんが退院された後は回復後期の心臓リハビリテーションを3-6ヶ月程度続けることをお奨めしています。その後の維持期には可能な範囲で地域のかかりつけ医で定期受診をしていただきます。心臓リハビリテーション外来またはメディカルフィットネスで運動療法を続ける場合などには半年に一度は専門的な検査を丸の内病院で行い心臓の状態を調べます。かかりつけ医と情報を共有しながら経過を診ていきます。
治療
心臓リハビリテーション
運動療法/食事指導/服薬指導
生活指導/相談カウンセリング
心機能検査
心電図検査/胸部X線検査/血液検査(BNPなど)尿検査/心エコー検査/
CT、MRI/運動負荷検査
チームで、地域で、支える心不全
自宅に帰った後、元の生活に戻ってしまうと短期間で心不全が悪化し再入院するケースがしばしばあります。そのような事態を防ぐためにも、ご自宅に帰った後も最適な生活が維持できるように継続的な支援が必要です。
【心配な時は地域の各専門家に相談】
自宅
安定した状態を維持するためには、生活習慣改善が必要です。
特に食事では塩分量に気をつけます。
家から通える!心臓リハビリ
メディカルフィットネス
退院後、より活動的に過ごす場合には継続的な運動療法が望まれます。丸の内病院ではメディカルフィットネスを併設していますので、リハビリスタッフがお一人お一人の状態に合わせた運動メニューを提案します。
心臓や血管に病気をお持ちの患者さんが、快適な社会生活や家庭生活に戻り、心臓病の再発や進行を予防するために、運動療法や服薬、食事指導などの患者教育・カウンセリングを含む多面的・包括的な疾病管理プログラムのことです。患者さん一人一人の状態に合わせた内容をご提案いたします。
心臓リハビリテーションの流れ
心肺機能負荷試験
レジスタンストレーニング
自転車エルゴメーター
栄養指導・カウンセリング
心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後、大血管疾患(大動脈解離、大血管術後)、末梢動脈閉塞性疾患などが適応となります。
当院は慢性心不全の患者さんの在宅療養を継続的に支援していきます。
急性期病院・診療所と連携しながら、循環器内科医師を中心とした多職種協働チームで患者さんのQOL改善、長期予後の改善を目指します。
急性心不全を発症すると、急性期病院を受診、加療、精査を受け、その治療が安定する段階で回復期の心臓リハビリテーション、疾患管理が導入されます。急性期と回復期を分業する施設が高齢者心不全では有用です。
回復期の段階で介護・在宅医療チームとの連携をしっかりと進めます。情報を簡潔に交換してゆくために地域連携パスが役立ちます。日頃はかかりつけ医での診療を継続し、より活動的に過ごす場合には長期に心リハ、運動療法などを継続する場合にはメディカルフィットネスの利用も選択肢となります。
生活機能低下、慢性心不全が悪化する場合には緩和ケアとお看取り体制に入ることもあります。
様々な状況に対応できる幅の広い地域連携構築が求められます。
これらを実践するために当院では2022年4月に心不全ケアセンターを立ち上げました。回復期から維持期の診療ができる病院機能に合わせてメディカルフィットネスの施設、緩和ケア医療チームと病棟があることは強みとなってきます。
地域連携パスを活用しながら、急性期病院と回復期・維持期病院、診療所で分担・協働が進められることを期待しています。
<連携イメージ>